砕けた透明

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「ここにいるの?」 そう言って、中に呼びかける人物がいた。 この人は一体何を掘り出そうとしているのか。 ― やめて! ― あわてて侵入者の顔をみると、それは見覚えがある人物。 ― ああ、一番知られたくない人に ― 完璧な色とりどりの自分しか知らない、そんなあなたに知られたら、もう2度と会えない。 ― だから、早く出ていって! ― 「大丈夫?」 聞きたくないそんな言葉。 「……」 やっと黙った。 でも、いつまでそこでこっちを見てるの? また口を開いた! 「 」 貴方がなんて言ったのか それは頭に残らなかった。 でも 気づいたら泣いてる自分がいた。 そして自分が作ったはずの壁は半分壊れていて、中の少女が顔を覗かせていた。 目があってニコッと笑うと少女は大きくなり私と同じ顔になった。 私なのに私じゃない 少し気弱なワタシ。 心配性なワタシ。 そんな事で泣くの? って自分でも思う涙もろいワタシ。 一言目をなかなか切り出せないワタシ。 自分より周りなワタシ。 でもそこにあったのは、作り上げた白い壁には塗ることができなかった、純粋な白。 色とりどりに塗った上からだと真っ白には塗れなかった純白。 作り上げた色とりどりの壁で自分を叱咤して追い詰めていた私を、ずっと心配してくれたワタシ。 ワタシがいてくれたから今ここでブレーキがかかった、自分で作った壁で押し潰される前に。 ワタシと私が一緒になると、あなたが何て言ったかを思い出した。 「「やっと会えた」」 あなたとワタシがそう言うから、自然と心から言葉が出てくるの。 「それは私のせりふだよ」
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