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誰もいない静かな浜辺に一人、長い影を落とす。
両手を大きく広げ、潮風を思いっきり吸い込んだ。
「君と見る景色は、なんて鮮やかで、なんて優しい色をしているのだろう」
炉の中で潤んだように輝く硝子玉のような夕陽が水平線へと沈んでいく。
茜色の後光が空を紅に染めるだけでなく、穏やかに波打つ水面がキラキラと反射していた。
「世界はこんなにも輝いていたんだ」
一筋の涙が頬を伝う。
それを拭おうともせず、L字形にした左右の指を上下に重ね、右目の前でフレームをつくる。
「カシャッ」
はっきりとした発音でシャッター音を真似ると、静かに腕を降ろした。
「君との約束通り、これからは“この一瞬を永遠”にすると誓うよ」
口から零れ落ちた言葉は、全てを包み込むような海が奏でる波音に吸い込まれていくのであった。
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