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「あ、違う違う。そうじゃなくって、彼女とかいるんならスマホをもっと気にするハズだし、こんな変な女の誘いになんて乗らないかなって思ってさ」
そこでぼくは「ああ」と短く返事をした。
この「ああ」という言葉にはぼくの深い思いが込められていた。
一つはぼくに彼女がいないと決めつけた理由に対して納得がいったという意味。
もう一つは、彼女自身、自分が変な子であることを自覚していたんだという、ある種の感嘆の溜息でもあったのだが、彼女は前者の意味だけ受け取ったらしい。
「君の話に付き合ったんだから、あと少しだけわたしに付き合って」
腕を掴まれ、有無を言わさず引っ張られるぼくは、一体彼女が何をしたいのか、何を見せてくれるのかというドキドキ感と、塾をサボった言い訳をどうしようかというハラハラ感で心臓がバクバクしているのであった。
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