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東西に一つずつ、二か所ある広場は、回遊式の散策路で結ばれている。
ぼくは彼女に腕を掴まれたまま、エレベーターホールのある西の広場から、段差のない歩道を東側へと連れて来られた。
春になると、南側のフェンスから桜並木を一望できる絶好のお花見スポットであり、先程、彼女がこちらに手を振っていた場所でもある。
目的地に辿り着いたぼくは、目に飛び込んで来た光景に驚きの声をあげた。
「うわっ! なんだこれ……って、画用紙?」
辺り一面に四角い紙が散らばっていた。
ぼくの声に反応して彼女の手が腕から離れた。
少しだけ寂しいと思ったのは気のせいだろう。
出会ってから、たかだか数分だ。
そんな短期間に恋など芽生える筈もない。
第一、彼女は変人だ。
それに、ぼくの好みは知的で落ち着いた美人である。
掴まれていた部分が急に離され、寒さを感じたからだと結論づけたぼくは、小さく頭を振ると、足元に落ちていた一枚を拾い上げた。
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