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 彼女がぼくを選んだ理由。  それはきっと、ぼくがカメラを手にしていたから。  そして、あの時、迷うことなくシャッターを切ったからだ。  ぼくと彼女が似ているというのなら、それは感性。  些細なことにも感動し、そこからの閃きや想像力を大事にする部分に期待して、ぼくを指名した。  ならば、ぼくは彼女の願いに真摯に向き合うべきだ。  グッと手に力を入れて、一枚一枚丁寧に見る。  描かれている殆どのものが、ここから見える街並みや、建造物ばかり。  上手い下手かを聞かれたら「上手い」と誰だって言うだろう。  どれもが特徴をしっかりと捉えてあり、デッサンの狂いもない。  ここまで描けるということは、相当絵の勉強をし、努力してきた人なのだと伺える。
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