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「なんだありゃ?」  距離的に顔が見えそうでハッキリとは見えない。  ただ、女性であることは認識できた。  誰か知り合いでも見つけて手を振っているのだろうと思い、周りを見渡す。  けれど、俯き加減で風を避けたり、コートの襟を立たせて寒そうに身を縮めたりして道を行き交う人ばかりで、それらしき人は見当たらない。  それどころか、やけに自分の方に顔も体も向けられているような気がする。なんなら、目も合っている気がしないでもない。  彼女を見上げたまま小首を傾げると、今度は両手で「オイデオイデ」するようなジェスチャーをしだした。
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