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そこで動画は再生を止めた。
「なんだ......これ?」玲一の口はカラカラに乾いていた。缶ビールの残りを一息で飲み干す。
たった今観たばかりの動画が一体何なのか、頭を整理するが上手く回らない。作り物? もう一度観てみようと再生ボタンをタップする。──再生されない。
......いや、時間は進んでいるので映像は流れているはずだった。しかし、黒い画面は数秒間隔でノイズを走らせるだけで、先程の映像は映らなかった。
恐ろしくなりスマホを畳に放り投げた。──竜二は一体、......ナニをしていたんだ。
その時、嫌な臭いが強く漂い、空気がねっとりと重く変わったように感じた。背後にある気配に恐る恐る押し入れを振り返る。
──そこには竜二に似たナニカが、隙間から襖に指をかけ、玲一をじっと見つめていた。
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