隙間

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母親から久しぶりに電話があった。 弟、竜二の勤め先から無断欠勤が続いていると連絡があったそうだ。そこで同じ都内に部屋を借りている俺に様子を見てきて欲しいとのことだった。 残業が終わり、竜二のアパートに着いた頃には23時を少しまわっていた。 俺達は何かあった時のため、お互いの部屋の鍵を預けあっている。鍵を開けドアを開くとなにか嫌な臭いがした。築古のアパートだからかと顔をしかめながら靴を脱ぐ。部屋に入るとすぐに三畳程の台所。古くさいガラス戸を開けると八畳の和室。天井にぶら下がるこれまた古くさい照明の紐を引いた。──反応がない。 台所の薄暗い照明はついているので、ブレーカーではなく電球だろう。台所に戻りシンクの下の観音開きを開ける。俺達の実家ではここに予備を置いていた。 ビンゴ。電球は二つとも切れているが、面倒くさいので一つだけ取り替えた。 紐を引き明かりをつける。部屋をざっと見廻すが特に荒らされた形跡もなく、とりあえずこの部屋で犯罪に巻き込まれた訳ではなさそうだなと胸を撫で下ろす。
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