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「お、達規。おはよ」
「お前ら朝からマジクソうるさい。マジ近所迷惑」
眩い自然光の下で見る達規は、いつにも増してヤンキー感が増していた。
髪は完全に金髪と言って差し支えない明るさになっているし、両耳に複数あるピアスも輝いて存在感が強い。
暑さのためか、シャツのボタンもいつもよりひとつ多く開いていた。
「一緒にすんな。うるせえのは佐々井だ」
「水島も声でけえもん。後ろ歩いてたら丸聞こえ」
達規の片手にはコンビニの袋。恐らく、いつも飲んでいる紙パックのカフェオレと、顔くらいの大きさのメロンパンが入っているのだろう。
もう片方の手で、脱いだ靴を持ったまま器用に下駄箱を開けた。
「水島、ロリコンだったんか……妄想だけにしとけよ? 実行に移したら犯罪だからな?」
「だから、ちげえっつの」
「お雛様に興奮できるとかレベル高くね?」
「水島は上級者だから」
「うるせえ! 佐々井は調子乗んな!」
バカみたいに笑う声が両サイドから上がって、俺は押し寄せる疲労感に息を吐く。
まだ登校しただけだというのに。
何となくこの三人でつるむことが多くなってから、身の周りが騒がしくなった。
しかもこの二人、なぜか必ず俺を真ん中に挟んで立ちたがる。お陰で常に左右から騒音がしている状態で、喧しいことこの上ない。
一方は本物のバカだが、もう一方は賢いくせに同じ次元で楽しんでいるタチの悪いバカだ。
巧妙に俺を茶番劇に巻き込もうとしてくるから、躱すだけでもいちいち面倒くさい。
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