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「どうやら本格的にお仕置きが必要みたいだな」
「近寄らないでよ嫌らしいっ!」
じりじりと包囲網が狭められる中、少女は首にかけているロザリオを引っ張り出して突きつけた。
「っていうかね、見てわからないの、私は旅の修道女です! こんなことして許されると思ってるんですか!」
敬虔な聖職者なら、危ない人も若い女だとて手を出すまい。
いかにも世間知らずの安直な考えは、旅路の衣装に家の棚の奥から見つけ出してきた修道服――っぽいものを選ばせた。実際の効果の程は男達の反応を見ている限り、どうもいまいちのようだったが。
「無法者が信仰してるのはな、盗賊の神様と嘘つきの神様と悪魔様なんだよ、嬢ちゃん」
「悪いな嬢ちゃん、そういうことで管轄違いだ」
「りょっ、領分が違うのならこう、なおさら敬った方がいいと思うのですがっ……?」
「わかりやすく言ってやろうか。聖職者相手とかむしろ興奮するんだぜフヒヒ」
「シスターを俺色に染め直してやるデュフフ」
「変態! この変態――きゃあっ!」
いよいよ一番近くに迫った相手がぱっと彼女に手を伸ばす。
うまくかがみ込むことで男の手から逃れた彼女だったが、幸か不幸か頭巾だけが男の手の中に残ってしまい、その結果頭から取り払われる。
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