奇妙な出会い

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 現れたのは、三つ編みにまとめられていてもわかる、どろりと鈍く赤みがかった色合いの髪だった。  はっとして頭を隠そうとする少女に向かって、ならずもの達はざわめき出す。 「何だこの女、変な頭しやがって。兄貴、こいつ気味が悪いでっせ。街道を一人で歩いていたことだって、修道女だって抜かしてることにもちょっと納得だぁ。誰もこんな奴、家に置いときたがらねえよ」  少女は一瞬傷ついたような顔をするが、自分の嫌いな身体特徴が自分を守るかもしれないと思うと複雑な心境になる。  どうかこのまま、怖じ気づいていなくなってくれますように。  しかし相方の方は徹底して不信心な男のようだった。 「馬鹿お前、構うこたねえよ、逆に好都合じゃねえか! 小娘の浅はかな家出にしろ、本職の尼さんにしろ、さらに珍しい魔女様とのご対面にしろ――こいつを助けてくれる奴なんか、誰もいないってこった。大体頭が気になるなら、さっきみたいに頭巾被せとけばいいだろ、ホレ」 「さっすが兄貴!」  少女はいよいよすくみ上がり、降りかかってくる不幸に耐える強い心を持とうとする。  さっき避けたときについでに腰が抜けたのかへたり込んだままもう立ち上がれない。  万事休すだ。  やはり箱入り娘の一人旅は無謀すぎたか。     
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