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――よいですかな、男はみーんな狼ですぞ! 油断したらぺろりと食べられてしまうんですぞい! 気を許してはなりませぬ!
――えっ、じゃあシアン兄様も?
――シアン様はそのような低俗な輩共より数ランク上にいらっしゃるお方ですじゃ、一緒にしてはなりませぬ。
――よかったあ。ねえねえ、だったらじいやは?
――わしゃ分別のあるよいジジイですので悪い男にはカウントされませぬ、安心してくだされ。わしら以外の男がみーんな悪者なのですじゃ。
――わかった!
いつかどこかでじいやとかわし合った会話が頭にリフレインする。
しかしこちらから声をかけても相手の反応がいまいち薄い。
そして一番大事なことだが、どんなに警戒したところで彼女は今腰を抜かしているのである。無駄な抵抗という文字が一瞬頭をよぎる。
しばらくじっと少女に向かって手を出していた男だったが、彼女が立ち上がれないとわかったからだろうか。
大股で歩み寄ってきたかと思うと、ずぼっと落ちていた頭巾を雑に彼女の頭に被せた後、身体に手を差し入れ、自分の肩に担ぎ上げてしまった。
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