田中さん

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無事仲直りできたけど、一つだけどうしても訂正しておきたいことがある。 「あのね、私が他人事だったって言ってたけどそれは違うからね! だってしょうちゃんが田中さんがそうちゃんをライバル視してて、嫌がらせで私にちょっかい出してるみたいなこと言うからさー」 「今さら言い訳か〜」 「違うよ!!」 「ったく、アイツまたそんな訳わかんねーこと言ってたのかー。 もしかしたらきっかけはそうだったのかもしれないけど……田中さんは本気だと思ってるよ、オレは。でも絶対負けないけどね」 そうちゃんはさらっと言うけれど、その顔からは自信が伺える。 いつの間にこんなに自信がついたんだろう。付き合い始めの、あのおどおどとした態度とは大違い。 そんなに私、大好きオーラ出してるのかな。ちょっと悔しい。 「そうだ!オレも言っておかなきゃならなかった」 「えー、なに〜?まだ何かあるの?」 ケンカ中の売り言葉に買い言葉とはいえ、そうちゃんからいろいろと指摘されて、実は地味に凹んでるんだけど… 「竹田にバレたからね、オレたちのこと」 「ウソでしょー?だって『空気の読めない』竹田くんだよ?」 「そりゃあ3人で飲んでてオレと渋谷が騒いでたら、さすがの竹田も気づくでしょ」 「もう田中さん、ほんとにいろいろやってくれたよね…」 竹田くんにだけは絶対にバレないって思ってたのに。 後日、田中さんの情報源は竹田くんだったと判明。誘導尋問にまんまと引っかかったらしい。 「でも田中さん、あの日より前から付き合ってるって知ってたよ。資料室で言われたし」 「それがさー、竹田、実はだいぶ前から気づいてたって」 「えっ!?何で?」 「アイツが言うには、ジムでオレらに会ったときに『空気読みました』だってさ。今年に入ってすぐの頃らしいよ」 まさかのジム!しかも竹田くん!油断してた…今年に入ってすぐなんて、付き合い始めたばっかりの頃じゃん。あの頃はまだ友達って感じで、そんな雰囲気出してなかったはずだけどな… 社内恋愛って難しい。これ以上バレないように本当に気をつけよう。
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