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あれは確か入学してすぐのリーグ戦が終わったばかりの、夏の始まりを感じる頃だった。
いつものメンバー4人でファミレスに行った時、何がきっかけだったか高校までを地方で過ごした近藤くんが
「オレ、ディズニーランドに一回しか行ったことないんだよねー」
と言い出し、じゃあ今度4人で行こうという話になった。
私以外の3人が「いいねー!」と盛り上がる中、私はマサトのことが頭をよぎった。
“いくら4人でもマズいよね…”
それじゃなくてもマネージャーをやることが面白くないマサト。絶対許してくれないと思う。
かといって内緒で行くのも抵抗がある。
3人の盛り上がりについていけずにいると、
「あ…アヤはムリだよね」
私のノリの悪い様子に事情を察したユカが、残念そうに言った。
「なんでだよー。行こうぜー」
明るく誘ってくる近藤くんにユカが
「アヤ、彼氏いるからさー。彼が許さないよね」
と、私に代わって事情を話してくれた。私は
「たぶん…」
言いにくかったけれど正直に答えた。
「アヤちゃん、彼氏いるのかー」
「うん…」
近藤くんの声に頷きながら顔を上げると、正面に座るユウキと目が合った。
ユウキは私を見つめるだけで何も言わない。
何故か私は目を逸らしてしまった。
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