微妙な距離

2/23
1623人が本棚に入れています
本棚に追加
/429ページ
あれは確か入学してすぐのリーグ戦が終わったばかりの、夏の始まりを感じる頃だった。 いつものメンバー4人でファミレスに行った時、何がきっかけだったか高校までを地方で過ごした近藤くんが 「オレ、ディズニーランドに一回しか行ったことないんだよねー」 と言い出し、じゃあ今度4人で行こうという話になった。 私以外の3人が「いいねー!」と盛り上がる中、私はマサトのことが頭をよぎった。 “いくら4人でもマズいよね…” それじゃなくてもマネージャーをやることが面白くないマサト。絶対許してくれないと思う。 かといって内緒で行くのも抵抗がある。 3人の盛り上がりについていけずにいると、 「あ…アヤはムリだよね」 私のノリの悪い様子に事情を察したユカが、残念そうに言った。 「なんでだよー。行こうぜー」 明るく誘ってくる近藤くんにユカが 「アヤ、彼氏いるからさー。彼が許さないよね」 と、私に代わって事情を話してくれた。私は 「たぶん…」 言いにくかったけれど正直に答えた。 「アヤちゃん、彼氏いるのかー」 「うん…」 近藤くんの声に頷きながら顔を上げると、正面に座るユウキと目が合った。 ユウキは私を見つめるだけで何も言わない。 何故か私は目を逸らしてしまった。
/429ページ

最初のコメントを投稿しよう!