ユウキの気持ち ~ユウキから聞いた話を元に~

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ユウキの気持ち ~ユウキから聞いた話を元に~

“本当はもう野球なんてやるつもりはなかったんだけどなー” 俺はまた野球を始めたことを少し後悔していた。 “まあ嫌になったら辞めればいいか” そんな適当なことを考えながら練習に向かうと、グラウンドの外に女の子が2人立っているのが見えた。 そういえば今日から新しいマネージャーが入るって言ってたからその子達かな。 あんなところに立ってないで中に入ればいいのに。 「マネージャー?」 後ろから声をかけると、ふたりが一緒に振り返った。 「あっ、はい…よろしくお願いします!」 「オレも1年なんだ。よろしくね」 「えっ?1年生なの?」 「そうだよ。で、何やってるの?こんなところで」 「なんか入りにくくて…」 「大丈夫だよ。こっちから入りなよ」 軽く手招きをしながら、グラウンドまで案内した。 ……………………………… 帰宅後、今日会ったばかりのマネージャーをふと思い出した。 大学に入ってまでマネージャーやるなんて珍しい子達だなー。 でもちらっと見えたけど、ふたりとも爪はキラキラピカピカしてるし、髪の毛もクルクルして小綺麗な感じだし、口紅もテカテカしてるし、なんかマネージャーって感じじゃないんだよなあ。 続けばいいけどもしかしたらすぐ辞めちゃうかもな…まあ仕方ないか、あんな男ばっかりの汗臭い部だもんな。 でもなー。なんか気になるんだよな…あの子。 いきなり段差で転けてボールをぶちまけたりしてちょっとおっちょこちょいだけど、一生懸命頑張ってたもんな。 それから練習後に「お疲れさまでした!」って言ってくれた時の笑顔。あれにはちょっとドキっとさせられた。 それから…それから…とにかく気になる子! それが俺のアヤに対する第一印象だった。
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