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微妙な距離
ユウキの一言に助けられ、私はマネージャーを続けようと決めた。
先輩マネージャーは明るくて優しく、いつも「ムリしないでね」と気遣ってくれ、先輩選手はちょっとしたことでも「ありがとう」と感謝してくれる。
マネージャー業に慣れてくると自然と体が動くようになり、やりがいを感じるようになった。
それから目標が一緒だからか同学年の選手同士も結束が固く、私やユカを変に女の子扱いせず仲間として受け入れてくれてすっかり仲良くなった。
そうして野球部は私に居心地の良い場所となっていった。
ユウキとはあの弱音を吐いて以来よく話すようになった。
あの時の私の様子に思うところがあったのか、ユウキは事あるごとに「大丈夫か?」「無理するなよ」と声をかけてくれた。
そんなユウキは向上心が強くリーダーシップもあり、何でも要領良くこなすタイプ。
先輩からも同学年の選手からも信頼されていた。
私も部内で困った事があると一番最初にユウキに相談し、その度にいろいろとアドバイスをもらった。
選手が「ユウキ」と呼ぶのにつられて私はいつしか「ユウキくん」と呼ぶようになり、みんなが私を「アヤちゃん」と呼ぶ中、ユウキだけは「アヤ」と呼んだ。
同学年の選手は15人位いたけれど、その中でもユウキとユウキと仲の良い近藤サトシ、ユカ、私の4人は特に仲良くなり、よく4人で行動するようになった。
練習後やシーズンオフの練習がない時期も
「オレたちラーメン食べて帰るけど一緒に行く?」
「今日近藤と駅前で飲むから、バイトがないなら来なよ」(未成年なのは見逃してください…)
ユウキはよく誘ってくれた。
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