部長と私★

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「…着眼点は良い。ただもう少し具体的に…そうだな、例えばここ、」 13時になると、魔王のデスクは大行列だった。それぞれコンペ用の企画書を持って、直前までペンを入れて修正している。そして今、私の目の前にいる女性社員の企画書に、魔王が指摘出しをしているところだった。 そして、私の番になる。 「よろしく、お願いします」 「…」 無言で受け取った魔王は、数枚の企画書をもの凄い速さでめくった。本当に読んでる?と疑いたくなるくらい。そして言い放った。 「全ッ然、ダメだな」 「えっ!」 思わず、声をあげる。だって、 「昨日のご指摘は全て網羅しました!」 さっきのさっきまで、パソコンの画面とにらめっこをして。昨日言われたところは完璧に修正して。なんならプラスアルファで乗っけたくらいの仕上がりなのに。 「…確かに、指摘したところは直ってる」 「じゃあ、何で…」 「君の企画書からは、景色が見えない」 「…景色?」 訳がわからなかった。一体どういう意味だ…? 「小手先でやっているのが見え見えだ。ゴールがブレてる」 「…ゴール、」 「それを見失ったら、どんなに面白い企画も通らない。この前のもそうだ、」 魔王が言ってるのは、この前ボツにされた企画のこと。それとコレは同じ原因でダメということ…? 「一体どういう意味ですか?具体的に…、」 教えて下さい、と懇願しようとしたが、 「君は主任だろ?それくらい自分で考えなさい」 とピシャリと言われて。「次」と目を逸らされた。
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