部長と私★

12/32
前へ
/374ページ
次へ
魔王の言っている意味が分からない。 他の企画書を少し見せて貰ったけど、明らかに私の企画の方が面白いと思う。それは贔屓目なしに。この前の化粧品の企画だって、絶対に通ると思っていた。なのにどうして、「全然ダメ」なのか。 「…悔しい…、」 カフェスペースの隅で、またコーヒーの缶を握りしめて。久し振りに、涙が出そうだった。堪えれば堪えるほど、溢れそうになる。 「クッソ、あの魔王…、私だけ目の敵にして…!」 ーーーそんなつもりは無いけどな。 呟きに、まさかの返事があったので、驚いて振り返る。と、自販機で魔王本人がコーヒーを買っていた。慌てて涙を拭う。 「どちらかと言えば、可愛がってるつもりだけど?」 眉一つ動かさないで、向かいに座る魔王。偶然にも、コーヒーの銘柄が同じだった。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12866人が本棚に入れています
本棚に追加