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付き合っている訳ない。というよりむしろ、部長が付き合ってくれる訳がない。
「だよねえ、ビックリした。何であんなに素敵な人の事が嫌いかねえ、」
その朝比奈の呟きに、思わず「逆」と呟いてしまっていた。慌てて口を塞ぐ。けど、時すでに遅し。彼女は目も鼻の穴も口も全部開いて、「え!?」と大袈裟にリアクションした。
「えっ、アンタ、まさか…、巽部長のこと…!」
「いや、あの、その…自覚したのは最近なんだけどね、」
「ウッソ、ホントに?これまた難しい案件を…」
「そうだよね、私もそう思うよ、」
彼女の言う通りだ。気持ちを自覚したところで、どうにもならない。現に、彼は私の下着姿を見ても、何とも思わなかったんだから。うまくいったとしても、お気に入りの部下、程度だ。
「…絶対、叶いっこないよねえ、」
呟くと同時に、涙が溢れていた。いつの間に、こんなに好きになっていたのか。
「…話だけは聞くからね、」
それしかできなくてごめんねと、彼女は背中をさすってくれた。
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