部長と私★

17/32
前へ
/374ページ
次へ
付き合っている訳ない。というよりむしろ、部長が付き合ってくれる訳がない。 「だよねえ、ビックリした。何であんなに素敵な人の事が嫌いかねえ、」 その朝比奈の呟きに、思わず「逆」と呟いてしまっていた。慌てて口を塞ぐ。けど、時すでに遅し。彼女は目も鼻の穴も口も全部開いて、「え!?」と大袈裟にリアクションした。 「えっ、アンタ、まさか…、巽部長のこと…!」 「いや、あの、その…自覚したのは最近なんだけどね、」 「ウッソ、ホントに?これまた難しい案件を…」 「そうだよね、私もそう思うよ、」 彼女の言う通りだ。気持ちを自覚したところで、どうにもならない。現に、彼は私の下着姿を見ても、何とも思わなかったんだから。うまくいったとしても、お気に入りの部下、程度だ。 「…絶対、叶いっこないよねえ、」 呟くと同時に、涙が溢れていた。いつの間に、こんなに好きになっていたのか。 「…話だけは聞くからね、」 それしかできなくてごめんねと、彼女は背中をさすってくれた。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12867人が本棚に入れています
本棚に追加