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年明け。コンペの結果が出た。
「佐倉、おめでとう!」
部長が拍手すると、同僚が皆、割れんばかりの拍手を贈ってくれた。
「バレンタインまであと1ヶ月強だからな。時間が無いぞ。すぐ取り掛かってくれ、」
「分かりました!」
諸々の書類を受け取ると、また部長が声を張った。
「あと、今日は金曜日だし、コンペの打ち上げをしようと思う。参加者は俺にメールくれ!」
すると「メニューは何ですか!」と野次が飛ぶ。部長は相変わらず無表情だったけど、少し得意気な声で言った。
「俺の奢りで、焼肉…でどうだ?」
ワッ、と歓声が上がる。私は慌てて「大丈夫ですか!?」と耳打ちした。
「たまには…な。みんな頑張ってたから…君がいい刺激になってくれたよ、」
ポン、と肩を叩かれる。途端に胸がキューンと鳴った。
いま、褒められたよね?しかも肩に触れた…!
赤くなっているのを書類で隠して、席に戻った。
また、あの笑顔が見れないかな、なんて。夜がとても待ち遠しかった。
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