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「だ、ダメに決まってるだろ!」
思わず手を下ろして、軽く怒られた。実は、本当に終電はなくなっていた。
「タクシーで家まで送るよ、」
「嫌です、部長の家に行きます、」
「…だからそれはダメだって…!」
「じゃあさっきなんでハグしたんですか?」
もう、ヤケになっていた。このままモヤモヤした気持ちでも居られないし、振るならスッパリ振って欲しい。
「はっきりして下さい…!私の前でだけ笑うし、最近なんだか優しいし、」
話しながら、涙が出ていた。
「ずっと部長のことばっかり考えて、胸が苦しい…!」
涙を拭うと、彼は困ったような顔をしていた。だけど、もう止まらなかった。勝手に口がペラペラと話す。
「…好きです…、」
言い終わると、何だかスッキリした。もう何を言われても怖くない。清々しく、玉砕しよう。そう、思ったのに。
「…もう、誤魔化せないな、」
そう呟いて。意外にも、部長は私を抱き寄せた。そして耳元で囁く。
「…俺も、君が好きだ…」
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