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「こっちの落ち度だし、仕方なく付き合ったんだけど、これがもう散々で。仕事中にプライベートの話をしたり、ベタベタしたり、もういい加減うんざりしてしまって」
「…それはキツいですね…、」
「だから別れを申し出たら、別れたら仕事を辞めるなんて脅されて。だからこっちが辞めてやったよ、」
付き合ったら仕事とプライベートは切り分けろ、って忠告したいのかな?と思った。私もどちらかと言えば仕事人間だし、その辺りの空気は読めるはず。
大丈夫ですよ、って返事をしようとした。だけど、彼はまた表情を変えずに言った。
「だからその時から、部下とは…いや、社内の人間とは付き合わないって決めてるんだ、」
…え、どういう事?
さっきまで幸せだったのに、心臓が嫌な音を立て始める。
さっきの話は、付き合わないための牽制?じゃあ昨日のアレは何?好きって言ったのも嘘?
「もう、仕事に恋愛を巻き込むのはごめんなんだ、」
血の気が完全に引いていた。とんだ勘違い女だ、私は。
「…そうですよね、社内恋愛なんて面倒ですもんね、」
もうそこまで涙が出かかっていた。だけどここで泣いたら負けだと歯を食いしばる。
とにかく帰ろう。で、昨日の事は忘れよう。部長とそんなことが出来たなんて、ラッキーと思うしかない。
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