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「か、帰ります、」
その辺りに落ちている下着を拾う。と、彼は目を丸くした。
「えっ、何で帰るの?」
「何でって…、」
「まだ話は終わってない。最後まで聞きなさい、」
最後まで聞きたくないから帰りたいのに。
昨日のはノリで、付き合う気は無いなんて皆まで言われたら、それこそ本気で立ち直れない。
「俺は、社内に彼女は作らないって言ったんだ、」
「…は、はあ、」
だから惨めになってるんじゃん、って噛み付きたくなった。彼女は作らない、イコール私は要らないってことでしょ?
そう言ってやろうと思ったのに、彼は有無を言わさぬ真っ直ぐな視線を、私に送った。目が離せなくて固まる。そして、口を開いた。
ーーー結婚しよう。
「……へっ!?」
驚きすぎて、ベッドから転げ落ちそうになった。いま、目の前の魔王はなんて言った?結婚だって?
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