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「ちょっ、待っ…え?結婚ってどういう…、」
「部下と恋愛関係になるっていうのは、それくらいの覚悟が要ることだと思うから、」
だ、だとしても。昨日のワンナイトに責任を感じているとしても、私に人生をかけなくてもいいのに。忘れて欲しいなら、時間をかけて忘れるのに…!
「ちょっ、部長、昨日の事なら、そこまで責任を感じなくても…、」
「いや、そういう訳じゃ無い」
「こ、今回のは完全に私が誘ったので、そもそも部長の責任では…」
「みのり、」
突然、下の名前を呼ばれて、肩が跳ねた。何故か思わず、ベットの上に正座でシャキッと座り直してしまう。するとクシャっとしたあの笑顔で笑われた。
「今回の事は…まあ確かに、背中を押したのは事実だけど。君に惹かれてると気付いた時から、いつ伝えようか考えてた」
「まっ、マジですか…、」
頭を抱えて目を泳がせると、また笑われた。かと思うといきなり立ち上がって、ベッドの上、私の目の前に座る。端正な顔が、至近距離にやって来た。
「君と俺、結構上手くいくと思うけどな。こんなオジさんじゃ不満?」
「なっ、」
不満な訳がない。だって、好きで好きで仕方なくて、あんな迫り方をしたんだから。きっと彼は私が拒否できないのを分かってて、こんな訊き方をしている。
「…私で良かったら、ぜひ、」
躊躇いがちに呟くと、布団ごと強く抱き締められた。苦しくて、息がつまりそうになるくらい。
「…良かった、嬉しい」
耳や頬に唇が触れる。
「ぶ、部長って、そんなキャラでしたっけ…?」
「…我慢してた分が、爆発してるのかな、」
そんな冗談を言いながらも、その後のキスは甘かった。
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