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ーーー誰をヒィヒィ言わせるって?
突然、背後から低い声がして。慌てて振り返ると、部長…では無かった。
「…結城、驚かさないでよ」
「ハハ、悪ィ。でももう少し声落とせよ。白熱しすぎて本人に聞かれるぞ、」
彼も、朝比奈と同じく、私の同期だ。ちなみにこの2人、最近 距離感が微妙なので、「おや?」と1人で思っている。
「またモメたのか?魔王と、」
「そう、また企画がボツになって。私にだけ厳しいと思わない?この前の佐野の企画なんか、くっだらない内容だったのに、即採用だったよ?まあ結局会議でほとんど手直しされてたけど、」
ブツブツ文句を言っていると、その後ろで結城が缶コーヒーを買っていた。フタを開けて、一口飲む。
「…そんだけ期待されてるってことじゃね?まあ頑張れよな、」
そう言って、背を向ける。
「今から出るの?」
「おう、週末の販促イベントの下見」
「あ、それ私の企画のヤツだ」
「そう。で、朝比奈がノベルティ作ったヤツ」
「ご苦労さんでーす!全部終わったら打ち上げしよ!」
「おう、」
ヒラヒラと手を振る。隣で朝比奈が小さくなっていた。
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