婚約者と私★

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婚約者と私★

部長と私の結婚が朝礼で発表された日。噂は瞬く間に社内を駆け巡った。 「おいコラ佐倉ァ!」 「ぎゃっ!」 定時に事務所を出ようとすると、後ろから腕を羽交い締めにされて。その犯人は結城だった。隣には朝比奈も立っている。 「てめー、魔王と結婚だって!?いつ魔族の仲間入りすることになったんだよ!聞いてねーぞ!」 「く、苦しい…!」 「ホント水臭い。連行!飲み屋に連行!」 引きずられるみたいにして廊下を連行されていると、そこに無表情の婚約者が通りかかった。 「う、あ、部長…、」 眉ひとつ動かさず、私達を見る。 「…今日は飲み会?」 「あ、ハイ!ちょっとお借りします!」 結城が明るく返事すると、 「あんまり飲ませないようにしてくれよ、」 と優しい声で言って、彼は事務所に戻った。 「…巽部長って、あんな優しい感じだったっけ…?」 「いや、なんか、もっと空気が張り詰めてる感じだったような…」 「そうだよなあ。あんなイケメンモードもあるんだなあ、」 朝比奈と結城が呟く。そして私に向き直った。 「なあ、あんなのが毎日家に居て大丈夫か?安らげるか?」 「そ、それはどうだろう…?」 そんな話をしながら、エレベーターに乗り込んだ。
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