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美也子がユウキ率いるバンドに出会ったのは、十五歳だ。
初めて「特別に好きな他人」が出来た。
それは二十九歳になった今でも変わらないし、それどころか、ユウキの紡ぐ音楽は美也子の皮膚に染み込み、血管の中を音符が流れて栄養となった。
言わば、思春期の美也子の背骨を作ったのはユウキだ。
キーボーディストのユウキがリーダーであるため、バンドの楽曲は電子音が特徴的で非現実感が漂う作品が多い。キラキラして、眩しい。
デビュー三年目にブレイクしたユウキのバンドは一定のファンを得、中堅のバンドとしてJポップで活躍し続けている。一過性のファンが消えていき、ユウキ達メンバーは「おじさん」と呼ばれる年齢になった。
けれど、星のような煌めきは、ずっと消えないまま美也子の世界を輝かせる一等星のままだ。
次第にクラスメイトが話題にしなくなっていっても、必ず新曲を聴き、ライブに足を運んだ美也子は、SNSでファンとの交流を始めるのも時間の問題だった。
そこで最初に出会ったのが、年上の沙和だ。
最初はネット上で交換していたが、「会おうよ」と、ライブ会場で落ち合うのに時間はかからなかった。
「あー、美也ちゃんだよね?!」
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