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 そのうち、背の高い三人組には見覚えがあった。  バスケのクラブチームに所属している、私より一つ年上の六年生の女子。  その子達はちょっとコワモテで、いわゆる『不良』とカテゴライズされるような子達だった。  その子達に囲まれるように、もう一人、背の低い少年がいる。  どうやらさっきの暴言は、この少年が上級生三人に向かって吐いたものらしい。  先輩に歯向かうなんて、とこの状況を見ていた絢香と結はドン引きした様子だった。  だけど私はこの、スポーツメーカーのウインドブレーカーを身に纏っている少年が気になり、視線を向ける。 『ちょっと早く生まれたからって、偉そうにしてんじゃねぇ』  たしかにな、と私は少年の言葉を思い出し、笑いそうになる。 少年を囲んでいた上級生三人も戸惑った様子で、グラウンドに背を向けて去っていくところだった。
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