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ドロップス①
この学校の美術室には、幽霊が出るらしい。
そんな噂誰が広めたのだろう。
そんな訳無いのに。
私はクラスでボッチで幽霊的存在。
幽霊部員?
いや、違うよ。
私は幽霊部員なんかじゃないよ。
毎日部活来ているもん。
本当は、あと一人部員がいるはずなのに。
なお君、
私の幼馴染、初恋の相手だ。
なお君は、クラスのアニメ好きの友達とつるんでる、いわゆるインテリ属性だ。
派手では無いものの、気さくでフレンドリー、クラスの人気者、私と真逆だ。
あいつに幽霊部員って言葉は似合わない。
だけど、今月一度も部活に顔を出していないから、
幽霊部員はあいつ。
「みお、僕も美術部に入るから一緒に入部しよう。」
最初に言ったのはあいつで‥‥。
一緒に部活が出来ると思って入った筈だった。
なのに、なのに。
小学生の頃はいつも側に居てくれた。
だけど、中学生になったら遠い存在。
手が届きそうで、でも実際は掴めやしない。
まるで夜空の星みたい。
彼は憧れの存在。
空には満面の星。
夜が長いから、部活帰りなのにこんなに暗いし寒い。
そんな時、小さい手で温めようとしてくれた彼はもう隣に居ない。
静かな夜は、寂しくて切なくて。
ぽっかり空いた心の隙間がスースーする。
私は気を紛らわす為に、歌を口ずさむ。
誰かに私の存在を気付いて欲しかった。
なお君には私だけを見ていて欲しかった。
それでもなお、独占欲を出してしまう自分に苦笑いをする。
バカだな、私は。
もう、時間は進んでしまった。
君がぬくもりをくれていたあの日々戻ることなんて二度とない。
分かってる筈なのに。
それでもやっぱり、君が好きだ
ずっと、好き
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