せいなる夜に恋い焦がれて

2/6
前へ
/6ページ
次へ
もし彼女が出来たとしたら毎日毎日電話して、あらゆるSNSサインもフルチェックしてあげるのに。 ……というか、気になる子にはしてあげたのに、結果は振るわず。 誰一人として、オレに告白する女は現れなかった。 「このままじゃいけない。何か努力をしなきゃ!」 オレは高校最後のクリスマスを素晴らしいものにしようとし、渋谷まで繰り出す事にした。 受験生なので来月にセンター試験を控えてはいるが、それが何だと言う。 勉学よりも優先すべき事は、世界にゴロゴロ転がってるのだ。 渋谷駅前に着いた。 既に陽は落ちかけているが、街の賑わいは凄まじいものだった。 眠りに向かうどころか、むしろ今から盛り上がろうとする気配である。 それは自分にとっても好都合。 早速、待ち合わせ中らしき女子高生を見つけ、声をかけることにした。 「あのぉ、すみません」 「はい。何でしょう?」 「これから僕とセックスしませんか?」 逃げられた。 大人しい顔して足がチーター並とか、詐欺も良いところだ。 騙されたような気分にめげず、次の標的に声をかけた。 「あの、僕とセックスしてくれません?」 また逃げられた。 ちょっと態度が固すぎたかもしれないと思い、親しみやすさを込めることにした。 「ハァイ! これからオレっちとセックスしてみない?」 すげぇ逃げられた。     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加