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せいなる夜に恋い焦がれて
ーーなぁお前さ、昨日の夜ヤッたのか?
下品な台詞が耳に届く。
ーーまぁな、でもアイツすっげぇつまんなかった。一昨日の女の方がマシだぞ。
酷く不快で腐臭と汚濁にまみれた声が、耳にうるさく響く。
ーー今日この後どうする? ナンパ?
ーーいいよ面倒くせぇ。ゲーセン行こうぜ。
ゴミカス塵芥(ちりあくた)な連中が教室から出ていった。
その頃になってオレも身支度を整え出す。
ヤツらと廊下で出くわす事がないよう、頃合いを見計らって教室を後にした。
階段を降り、昇降口で靴に履き替え、人気のない焼却炉ウラへと向かう。
誰も居ない事を確認してから、背中のバッグを降ろして顔をうずめる。
そして、魂の底から叫んだ。
「彼女欲しいいぃーーアァッ!」
暦は12月半ば。
世間はクリスマス一色のムードなのだが、オレ自身にはモテる気配が微塵もない。
バレンタイン、夏休み、そしてクリスマス。
数々のおいしいイベントを身内以外で祝う事なく、18歳を迎えた今も記録更新中なのだ。
さっきまで教室にいた、軽薄で面だけが良いゴミカス野郎がモテて、誠実な自分がモテない理由が本当に理解できない。
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