赤い手

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目に染みる悪臭を、息を堪えながら便器を覗きこみ赤い手が出て来るのを待ちわびた。 だが、何度行こうが赤い手を見る事は無く、月日は流れて2年生になった。 そして、ボクは初めて真実を知る。 結論を言えばボクは騙されていた。 毎年、3年生は1年生にこの話しをして卒業前になったら教えると言う事だった。 ボクは真に受けて1年間騙されあの悪臭漂うポットン便所へと 通っていたのだった。 人間はこの様にして純真無垢な少年を少しずつ汚れた大人へと 変えて行く、そしてボクは 3年生になり赤い手の話を1年生にするのだったが、ボクが 簡単に騙された事が腹立たしくて、この赤い手に脚色を入れてみた。 ポットン便所の赤い手に出会ったら握手すると願いが叶うと言う 脚色を付けて話したのだ。 こうしてこの年はポットン便所は大人気となり、ボクは大人の階段を少し上がったのだ。
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