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第一話 突発
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「遅い! このヘタレ見習い弟子が! この私を五分も待たせるとはいい度胸だ!」
僕の師匠である赤毛の女性、リアン・サーバイドの根城に着いたのは、呼び出されてから二〇分後だった。
学校からこの廃ビルまで、約三キロの道のりだ。
──結構、頑張ったんだけどなぁ。
放課後に教室でぼけーっとしていたところに、師匠の使い魔と思われるカラスがやって来て、そこから全力疾走(さすがに三キロ全区間の全力は無理だが)してやっと着いたのだ。五分くらい遅れたからって、いきなり罵倒されるのは、何というか、理不尽さを感じざるを得ない。
そんなリアンは、重厚なデスクに足を投げ出し腕を組み、僕を睨み付けた。
「何か言ったか? へっぽこ弟子?」
「いえいえ、何も言ってませんよ」
「お前のそういう余裕がある態度が気に入らん」
横暴だ。
「大体だな、お前は師匠というものを……」
「で、今日は何です? 呼び出しかけるくらいだから緊急なんですよね?」
僕は師匠の言葉を遮り、用件をお伺いした。どこかで止めないと、いつまでもグダグダネチネチと小言を言われ続けることになる。それではちっとも話が進まない。
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