01 すべてを白に染めしもの

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 ピラミッドが胎動し変形を起こす。広間に四つの巨大な柱がせり上がる。柱が光り空間に電気が走った。四つの柱の中心、コンソールのちょうど真上に青白く光り輝く丸いものが現れた、かと思うとそれは大きく膨らむ。それは別の世界への穴であった。  そして魔王はそこに吸い込まれていく。  勝った!  と思うだろ?  魔王が現世に顕現する。そして暴走は止まらない。全てが白に呑まれていく。地球と呼ばれたその星は暗黒の宇宙のなかのひとつのシミとなって姿を消した。  世界が白に呑まれて消えた。  だがそこに残るものがひとつだけ。黒い暗黒の宇宙のなかに漂うかつては地球と呼ばれた今は白いシミのなかにひとつだけ黒い点がある。 「おい、いったい何が起こったんだ?」と黒い点は述べる。 「なんかテレビで大騒ぎしてたぞ」やはり同じ黒い点から聞こえてくる。 「世界が白い光に包まれていくってやつか? 冗談だろ。ははは」 「これはすべてを白に染めしものの力」 「おい、いきなりなに言ってるんだ?」 「だがしかし、運がいいな君たちよ。わたしは白に抗う黒き力の持ち主よ。全てを黒に塗りつぶすもの。大いなる黒とはわしのことだ」 「なに言ってんの? たっちゃん?」 「喋ってるのは俺じゃないぞ」とタツヤは述べる。  そう、すべてを白に染めしもの云々と言い出してから喋っているのはタツヤではない。 「おいちょっと待て。ここには俺とお前しかいないだろ」     
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