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ユージとタツヤが現れる。そして黒猫ナビオ。
そこは神社のなか。
神主述べる。
「元旦の朝のこと、丁度お賽銭箱のうえになにかがあった。白い丸いものだ。それがこれです」
「なんだこれは鏡餅か?」とユージ。
触るととても撫で心地のいい柔らかい物体。
「なんだこれ? 気持ちいいぞ」とユージは撫でまくる。
「うむ、ビビビと来た。これは」とナビオはいう。「すべてを白に染めしもの」
「なんだそれ?」
「白の魔王」
「なんで魔王が鏡餅のぬいぐるみみたいになってるんだよ? 笑わせるな」
「魔王は白い力に呑まれて、そのみずからの存在を失ったのじゃ。それがこの名残りよ。魔力の残滓はまさしくあいつ」
「知り合いか?」
「こいつは毎年正月にお年玉をあげる仲よ」
「なんだそりゃ? 孫か?」
「ユージのくせに鋭いのぉ。こいつはわしの孫の孫のそのまた孫の……まあつまり遠い子孫じゃな」
「お前の子孫は鏡餅かよ」
「存在が消えかかっているがまだ間に合う。どれ」と黒猫はその白い物体に手をかざす。猫足かざす。
「おいちょっと待てよ! 魔王を復活させるなよ!」
「案ずるな。わしのほうが強い」
「なにを根拠に言ってんだよ!? おまえ猫だろ!」
「若いもんにはまだまだ負けん」
「そのセリフが不安なんだよ!」
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