プロローグ

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「ねぇねぇ、かおちゃん。」 「ん?どうしたの??」 とある教室。 朝のHRが終わり、賑やかな5分休憩。 「朝の放送って…あれなんだったの??放送部?」 「よくぞ聞いてくれましたっ!」 かおちゃん、と呼ばれた彼女は思わずガタッと音を立てて立ち上がる。 「まだ転校してきて間もない君に、いつ解説してあげようかとうずうずしていたのだよ!!」 「そ、そう…」 転校生は、彼女の気迫に少したじろいで答える。 放送部。 校内では特別枠とされていて、もはや有名人扱いだった。 「因みにファンクラブなんてものもあるらしい」 「アイドルみたいだね…」 「そう認識して構わないと思うよ」 何故か彼女が自慢げである。 放送部の組織は、部長自らの引き抜きにより決まるものであり、誰もがなれる訳では無い。 彼らは独自のスマホアプリを開発し、校内生徒限定でアプリを配布。 そのアプリには学校行事や当日予定、担当教師や購買のセール情報まで配信している。 そして、そのアプリが1番気に入られている理由として。 チャット式、ラジオ配信機能がついている。 その配信者が、つまり放送部員なのだ。 「あ、あのアプリ…そんな機能もあったんだ」 「1回聞いてみて?…そうだなぁ…初心者向けだと、ゆたくんかなぁ?対応も厚いしのんびり聴きやすいと思うよ!」 彼女は自分のスマホを操作しながら、件のアプリを操作しているのだろう、目が忙しなく動く。 「ん!珍しく告知してた。今日は夜23時に配信予定だって!」 「へぇ……なんか凄いね…」 転校生は、あまりの情報の多さに放心する。 「ま!分からないことがあったらなんでも聞いて!私詳しいから!」 「なんで?もしかしてかおちゃんも放送部なの?」 「いいや、私は新聞部!…なんたって彼等は目立つからねぇ。記事にすると評判が良いんだよ」 そんなに…と、転校生は思いを馳せたが、今朝の嬌声を聞いた限りでは、確かにアイドルのようだった、と1人頷いた。 .
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