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放送部の朝は早い。
いや、早いのは私くらいではないか。
放送部の雑務、アプリ内の情報更新を任せられている自分が1番忙しくしていると思う!!
と、胸を張っておく。
そもそも基本的な一日の流れとして
朝8時までに全クラスの一日の時間割と担当教師を添付。
購買の新作情報やセールがあればそれも告知。
朝登校したら、部長の気まぐれで指名された部員は、朝礼10分前のチャイムの後の校内放送を担当。
昼休憩の時の放送も、部長の気まぐれで決められた配役によりラジオ形式で放送。
この時に各自考えた企画をやったりやらなかったり、リクエストを募って曲をかけたり歌ったり雑談したりする。
放課後は特に用のない部員は帰宅できるが、
毎日部員のうちの誰かがどこかの時間帯で配信する。
一日の夜に何人配信してもいいけど、基本的には時間帯があまり被らないようにだけ気をつけている。
こうやってみると、とても自由で気ままでのんびりとした部活のようにみえるけど、そんなフリーダム部活動の内務を担当している私は、みんなの自由時間、つまり放課後こそする事が山積みなのだ。
「うわーん!いよねぇー!経費精算が終わらないよーーん!」
放課後の校内は、割と賑やかだ。
グラウンドでは野球部の声が。
音楽室からは吹奏楽部のチューニング音が。
文化部だって各部室で賑やかに行われているだろうけど、きっと今この瞬間1番騒がしい文化部なら、この放送部だと思う。
私の悲痛な叫びが部室内を通り越して廊下にまでこだまする。
「経費?今月なんて行事も無かったし、何につこてんねん」
各部員一人一つずつ割り当てられた机がある。
その全ての机が一方を向いていて、その向く先には我らが部長、いよねぇの机が鎮座している。
その少しだけ大きな机に肘をつき、座っている彼女が癖のある関西弁で答える。
「あのねあのね...多分、せいちゃんが企画用にってなんか百均で色々...」
私がおそるおそる、と言った声色でいよねぇに告げると、彼女の猫目がみるみるうちにつり上がっていく。
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