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「だから、貴方と対等な立場でいられるならこのまま素顔を明かさないままでもよかったのですが、シキとして接していると、次第に自分で自分に嫉妬するようになったのです。私のキスで素直に感じてくれていてもそれはあくまでシキとして。だから、いつか素顔のままで貴方とキスがしたいと思うようになってました」
「だったら、こんな真似しないで神楽坂として俺に気持ちを伝えたらよかったじゃないか」
何故、こいつはこんな回りくどい事をしたのか。
すると、指先がまだ痛む方の俺の手を取り神楽坂は再び口を開いた。
「言ったでしょう?対等でいたかったって。マスクを付け、素顔を隠したままなら私と貴方は対等でいられる。それに梨人様は私を勘違いしてらっしゃる」
「勘違い?」
「私に好意を抱いているのにそれを隠し、この手をも触れようとしないのは私を余程純粋で真っ白な人間だと勘違いしているから」
「……そうだよ、お前は俺と違って真面目で純粋で俺が触れたらいけないくらい真っ白だ。だから……」
「触れたら穢れるとでも?」
そして、そこまで告げるとその指先に唇を寄せた。
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