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「帰るか。」
陸に差し出された手を握り、二人で夜道を歩いた。彼の手は温かく、安心する手だった。
「雫。俺はさ、父親の代わりにはなれないけど、お前を好きな気持ちは誰にも負けない自信がある。だから…、俺とお前二人でこれから埋めていかないか?今まで傷ついた分、たくさん…。」
「陸…。うん!陸となら…、幸せな思い出をたくさん作っていける気がする。」
父親の愛情がずっと欲しかった。渇望していた。でも、今はそれがなくても雫は満たされている。大好きな彼と一緒なら…、これから先、温かい優しい未来がある。陸の温かい手を握り返しながら雫はそんな予感がした。
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