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った。失望したのかもしれない。もしかしたら、もう陸とはこれから先二度と…、そう思うと震えが止まらなかった。そんな不安の中、陸を待っている雫の目の前に陸が立っていた。
「ほら。これでも飲んどけ。」
陸は雫にミルクティーを渡した。雫の好きな飲み物だ。
「あったかい…。」
雫はミルクティーを両手で包み込んだ。陸は雫の隣にあるブランコに座ると、買ってきたコーヒーを飲んだ。雫もミルクティーを飲んだ。心がほっとする味だ。身体に染み渡る様な温かさを感じる。
「陸…、ごめんね。ごめんなさい。私…、本当はあなたの気持ちに気づいていた。自分の気持ちにも…。でも、どうせ別れがくるなら…、傷つく思いをするなら幼馴染のままでいたほうがいいって自分に言い聞かせてたの。でも、今、あなたを失うかもしれないって思うと…、きっとそれ以上に後悔する。」
陸は雫を見つめた。
「もし、まだ間に合うなら…、陸。私を…、あなたの彼女にして下さい。」
「はあ…。やっと認めたな。雫。」
陸は立ち上がると雫のブランコのチェーンを握りしめ、彼女を見下ろした。
「雫。ずっとずっと好きだった。おじさんがいなくなってから傷ついたお前の心を俺が癒してやりたいってずっと思ってた。失恋ばかりして泣いているお前を俺の手で守ってやりたいって…。やっと、やっとお前が手に入った…。」
雫の髪に手を回し、陸は額を合わせて安心したように溜息を吐いた。
「これだけ俺を待たせたんだ。もう離してやらないからな。覚悟しろよ?」
「うん。ずっと待っててくれてありがとう。」
唇が重なり、二人の影が一つになった。顔を見合わせてお互いに笑い合った。
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