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それはこの店には極めて珍しいサービスがあり、動きやすさを重視している為である。
「和風と洋風、どちらになさいますか?」
注文はまず2種類から始まる。
いずれを選ぼうとも、満足のいくサービスを受ける事が可能だ。
ひとまずは洋風を選ぶ。
「早、熟、老はいかがなさいますか?」
ここでは「早」を選ぶのが無難だ。
「早」でないなら「熟」であり、「老」はハードルが高く、よほどの常連でない限りは避けた方が良い。
「洋風の早おねがいしまーす」
オーダーが通る。
看板娘はそこで頭を下げ、奥のスペースへと消えていった。
座って待つことしばし。
奥から現れたのは、名も知らぬ外国籍の女性だった。
金髪碧眼の容姿が人々の注目を一身に浴びる。
その女性はゆっくりこちらに歩み寄ると、優しく、それでいてシッカリと抱きとめてくれた。
やや筋肉質ながらも、女性特有の柔らかさや体温が心地がよい。
しばらくそのようにしていると、安らぎと眠気が静かにやってくる。
だが、大抵は本格的な眠りに落ちる前に、サービス終了となる。
小さな電子音が鳴る。
すると女性は両手を解き、奥の方へと消えていく。
その代わりに再び看板娘が現れ、やはり温かなコーヒーを供出してくれる。
飲み干したなら会計だ。
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