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ぬくもり喫茶モフリ
西東京の山間部にある小さな町。
そこには観光ガイドに載っていない、知る人ぞ知る、こじんまりとしたカフェがある。
古民家を改装して作られた隠れ家のような造り。
ーーぬくもり喫茶モフリ。
それがこのお店の名である。
最寄り駅からも相当に離れているため、とても『好アクセス』とは言いがたい立地なのだが、毎日のように行列が出来るほど大盛況である。
店付近にあるのは清流秋川と、目を休ませる木々ばかりだ。
そんな好環境にあっても、待ち人たちが風光明媚な景色に親しむ様子はない。
誰もが猫背になり、スマートフォンの小さな画面とニラメッコしながら時間を潰すのである。
「お待たせしましたぁ。1名様、カウンターでも宜しいですか?」
順番が来たなら、看板娘が柔和な笑みとともに迎えてくれる。
化粧は薄く、だが決して地味などではなく、まるで野原に咲く生来の美を感じさせる女性だ。
真冬の時期であったなら、心まで温められる事だろう。
そう、「ぬくもりコンテンツ」はここが入り口なのである。
店内は満員である事が多い。
隙間なく着席して10名が限度なので、決して広くは無いが、窮屈な印象は受けない。
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