覆水盆に返らず

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14歳という、ダリオンと同じ歳でありながら、村長の息子である彼は、大人と同じようにこの村のことを考えていた。 「いま、大人たちがこの辺一帯の魔物の駆逐をしてるのは知ってるだろ」 「ん?ああ」 「それが終わったらさ、剣の修行をして、旅に出ようと思うんだ」 「え?」 「魔王退治だよ。そしたらこの辺境の村にも多額の謝礼金が払われるはずだ。そうしたら、この村をもっと豊かにできるし、もう魔物に怯えないで済む」 ウィルは本気のようだった。 「そうか。がんばれよ。きっとお前ならできるよ」 「いや、お前も一緒にやろう」 「えっ」 「なんたって勇者の旅には信頼できる仲間が必要だからな!」 ウィルに肩を組まれて、ダリオンは苦笑する。 「いや、俺は剣なんて振ったことないし」 「大丈夫大丈夫!俺が稽古つけるし。その日先生に習った剣をお前に教えればいいだろ」 そういえばウィルは剣の指導を受けている先生がいたのだったな、と思い出す。 「ダリは力が強いし、農作業で鍛えてるから俺よりずっと強い剣士になれるかもしれないぞ」 「いや、俺はいいよ……生き物の殺生とかも苦手だし」 「まあ俺の稽古に付き合うと思ってやってくれよ。練習相手がいたほうが上達も早そうだろ?」 「うーん。まあいいか」 「よしっ決まり!じゃあそれはお前にやるから、大事にしろよな!」     
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