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決戦
サーブとは個人競技である。
ボールをつくのが心地いい。今のこの時間を遮るものはない。あと一点、その一点でうちのチームは負ける。その局面で僕が投入された。なんてことはない、僕に白羽の矢が立ったのは三年生の僕に思い出作りをさせるためだ。
時はバレーボール、インターハイ地区予選の二回戦。最終セット14-24で相手側のマッチポイント。決勝とか次に繋がるような場面ではない。現実なんてそんなものだ。僕はその場面でピンチサーバーという役職でお鉢が回ってきた。高校生活最初で最後の活躍の場。
不思議なくらい俺の心は落ち着いている。これで外したり、簡単に相手にとられるようなボールを打ってしまっては負けてしまう、そんな場面で。ベンチの中からは
「頑張れ!」「思いっきりいけー」
なんて声が聞こえてくる。はたから見れば
「俺たちはまだまだあきらめない!」
って感じられるけど、おいおいw俺にはもう終わりだってしか伝わってこないぜ!でもその気持ちは分からんでもない。なんてったって俺が出されたからな。俺がコミュニケーションが不得手だからといって俺を見捨てたお前らには、そんな風にしか感じられない。
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