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「いつの話だ」
「ライ兄が切った直後じゃない?歩いてたら奇襲かけられて、テキトーに相手してたら柳さんが偶然通りかかって引き取ってくれた」
「……そういや報告受けた気する」
事後の連絡、しかもただ不穏な輩を捕まえたとしか聞いてなかったため、そこまで気にかけていなかったらしい。
まさか幸也が関わっているとは思わなかった來斗が今知った事実に苦い顔をした。
「その女の子も一緒に連れて行かれてたけど……化粧濃い美人系って感じですっげプライド高かったし、ライ兄に近づこうとする女の子を片っ端から跳ね返してたよ。ライ兄、一時期あんま声かけられなかったの覚えてない?」
その女なら流衣にも覚えがあった。
來斗に好意を持っているのがバレたのだろう、來斗がいる店に顔を出しただけで女の息がかかっている連中に追い出されていた。
いつの間にか見なくなって清々していたのだが、幸也が追い払っていたらしい。
來斗を抜きにしても気に入らない女だったから、その点だけは幸也に感謝をしても良いかと思った。
「あー……なんか、鬱陶しさが減ったときがあった記憶はある。つかそん時、ユキも避けてたよな?」
「あぁ、うん。ライ兄のとこ行こうとしたらその子にすごい剣幕で追い返された。あとはあの子の差し金で絡まれることが増えてたかな」
「もしかしてそれって、和雅に色目使ってたアレ?付け睫毛すごかった奴」
律が半分笑いながら推測すれば、横で思い出したらしい和雅も微妙な表情を作った。
話を聞いていた何人かもそのときの状況を思い出したのか吹き出している。
「そうそうその子。ライ兄に近づくのにカズ利用しようとしたんだっけ。マジうけたわあれは」
「いたなーそんなの」
「あん時和雅、本気で理解不能って顔してたよな。笑った笑った」
「マジ意味不明だったし。面倒だったから「俺今ライと喧嘩してっけど」つったら即行離れてったわ」
どんだけ分かりやすいんだよ、という誰かの声で隊員以外の連中が大声で笑い出した。
あの頃から來斗を知っている男達も当時の状況を思い出したのだろう、隣の仲間と各々勝手に話しては更に腹を抱えて笑っている。
「あの女でも2週間とか。ライさんどんだけ飽きっぽいの」
「飽きっぽいっていうか、最初から大して興味ないんじゃね」
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