ネオンの下のその人は

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絶対に離れないで、とだけ言って流衣は夜の街を早足で歩いていく。 世間とは離れた場所に建っている学校でぬくぬくと生活していたお坊ちゃん達には十分恐怖を感じるだろう。 初めての場所にビクビクしながらも、流衣の後を懸命について来ていた。 時間通りに集まった隊員達はどこか小奇麗さは残っていたものの、街にいそうな範囲だったので良しとすることにした。 道中で絡まれることさえしなければ、どうにかなるはずだ。 自分1人ならどうとでもあしらえるが、複数人を守れる力など流衣は持っていない。 週末は平日と180度変わって物騒になる大通りから1本入ったここは、BlueMoonにさえ辿り着いてしまえばとりあえずの安全は保障される。 來斗達はBlueMoonにいるという情報を得ていたから、荷物を抱えて余計なところを探さなくても良かったのが救いだ。 いつもと違う状況に流衣も常の余裕を持てないでいる。 さっさと会わせて帰らせたい。 この細い路地を抜ければ目的の店に着ける、はずだった。 「おっとー、子ウサギちゃん。今日はいっぱい連れてるねー」 「チッ……」 行く手を阻むように2~3人、細い路地、流衣達を挟み込むように後ろから5~6人。 一緒にいる子等に気をとられすぎて周囲の気配に気づきそびれていたらしい。 初めての境遇に怯えている子達を庇うように腕を伸ばし、流衣が壁際へと移動する。 「ルイちゃんちっとも遊んでくんないんだもんねー。いっつもライばっかでさー」 「いい加減諦めて俺らと遊ぼうよー」 「……ライのこと抜きにしても、お前等と遊ぶ気はないね」 流衣が睨みつける相手は、街へ出ればいつもナンパをしてくる連中だった。 普段だったら絡まれないよう道を選ぶのに、早く店に着きたいという焦りが勝ってしまった。 「相変わらず冷たいねー。そこがそそられるけど」 「しかも今日は良いの連れてるしねー、楽しめそう」 舌なめずりさえしてくる相手はじりじりと流衣達に迫ってくる。 こんな人種と会ったこともないだろう、流衣の後ろにいる子達は恐怖のあまり泣き出していた。 熱意に負けたとは言え、やはり連れてくるべきではなかったかもしれない。 何とか彼等だけでも逃がせないかと思っていた矢先、目の前でにやけていた1人が視界から消えた。
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