ネオンの下のその人は

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正確には、左方向に吹っ飛んだ。 「店の前で下品なことしてんじゃねぇよ」 突然のことに目を見開く流衣の耳に飛び込んできたのは不機嫌そうな、けれどよく聞き慣れた声。 どこか柔らかな雰囲気が混じる声の方を振り向けば、思ったとおりの人物が片足をあげて立っていた。 「ったく、時間がねぇってのに……ルイ?」 「……リツ」 「っえ、あや、しろ先輩…!?」 いつもは下ろしている前髪をワックスで流し、学校では一切つけないシルバーアクセサリーを身につけた律が訝しげに流衣を見て、その後ろに立っている隊員達に目を見開いた。 隊員達もまた、予想もしなかった律の登場に驚愕の眼差しを向けている。 「何してんだ?何でこんなとこいんだよ」 「社会勉強っていうか事実を見に」 「事実?」 「ライとユキの一件以来、ライの正体が知りたいって聞かなくてね。緘口令を条件に連れてきたの」 「何してんだか……」 「憧れの王子様の秘密って見たくなるんじゃない?」 呆れたため息を零した律へ恐る恐る、流衣の後ろにいる子が声をかける。 「あ、綾城先輩こそ……なんでこんなとこ」 「そ、それに、その格好……」 完全に怯えきっている彼らが涙声で質問する。 んー、と首の後ろをかいている律はどういう説明をしようか考えているようだった。 「……簡潔に言えば、俺も常連だから。いつまでもここいないで早く店行けよ。変なのウロウロしてっから」 「あれ、そういえば……」 律の登場ですっかり忘れていたが、流衣達は囲まれていたはず。 周りを見渡すと、地面に転がって呻いているナンパ野郎達とそいつらを足で押さえつけてる見知った人物達が目に入った。 いつの間にやら取り押さえていたらしい。 「ごめん、助かった」 「いい。んで早く行け、巻き込まれるぞ」 「何かヤバイの?抗争?」 「“猫”が鬼ごっこしてんだよ。探してんだけどウロチョロ逃げてっから、――――、いたか?」 律のスマホが着信を知らせた。 相手の声は聞こえないけれど、内容は探し人のことのようだ。 見れば、流衣達を助けた面々もきょろきょろと誰かを探している。 と―― 「危ないっ避けてっ!!」
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