ネオンの下のその人は

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頭上からの叫び声に何事かと一同が顔を上げる。 街のネオンで薄明るい夜空から巨大な黒い塊が降ってきていた。 「!?」 「!!」 「っ」 ほぼ真下にいた律が咄嗟に横へステップし、地に着いた足を軸に降ってきた巨体に上段回し蹴りを繰り出した。 落下途中で横に蹴り飛ばされた身体は受身をとる間もなく壁に激突し、ずるずると崩れていく。 覗き込んだ顔は醜く歪んで泡を吹いており、生きているようだがピクリとも動かない。 周囲を警戒する流衣の上からもう一つ影がさしていた。 「ごめーん。下確認しないで落としちゃった」 暗闇でよく見えないが、上から聞こえてくる声は覚えがあるもの。 案の定、スマホを耳に当てたままだった律が呆れ混じりの安堵の表情を見せた。 「猫発見。店に戻ってくれ」 通話を終えると同時に、近くにいた数人に後始末を言いつける。 周りにいた連中はやれやれと店に戻っていった。 戻り際「ユキー、何か奢れよー」「お前走りすぎー」と軽口を叩く連中を見送っていると、頭上から再度影が降ってきた。 身構えた流衣達の前にトン、と軽やかな足取りで細身の人物が着地する。 「……ユキ、遊びすぎ」 「え、俺怒られんの?歩いてただけで、絡んできたのあっちなのに?」 「遊んでたのは確かだろ?勘弁しろよ、もう少しでライが出てくるとこだったっつの」 「過保護」 「俺に言うな。ライに言え」 フードを被り、文字通り全身を真っ黒に覆った人物が律へと歩いてくる。 近づくにつれ隊員達でもうっすらと確認できた顔は、暗がりでも分かる茶髪と緑の瞳。 「みや、ざわ……」 「えっ」 流衣達の存在に気付いた幸也が軽く瞳を見開く。 流衣はともかく、隊員達がこの場にいるなんて想像もしていなかっただろう。 不思議そうな目で見られ、仕方なく流衣が口を開いた。 「……ライに会いたいんだって」 律に説明したときよりも素っ気なく答える。 今更幸也をどうこうするつもりはないが、妬ましい気持ちはそう簡単に消すことなどできない。 出来ることなら会いたくないが、來斗に会う以上姿を見ないというわけにもいかなかった。 幸也が何とも思ってなさそうなところも、一層腹立たしく思う。 「ライ兄に?」 「寡黙な副会長の本性が知りたいんだと」 「あぁ、そっか。猫被ってんだっけ」 「そう。ユキとやりあって色々勘ぐる奴が出てきたみたい」
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