秘密の扉【フローリスト短編集】

1. カナちゃん

私の名前？

芦野カナ。

年齢は２２。

んー、これ聞くと大体みんな、そんな顔しますね。
それって私が、幼いって事なのかな。

そりゃあ、顔の手入れは適当で
生まれつきの赤毛混じりの頭を
ただ、ひっつめてるだけの髪型だもんですから。

メガネはブランドでも何でもない
大きくて丸いやつですから。

イロケ的なものは、持ち合わせてございません。
正直、興味もないし。

仕事は、フローリスト「シシリー」の接客スタッフ。
まあ、係の名前なんて建前ね。
ぶっちゃけ花屋の店員だもの。
お客様の対応は当たり前。
店員は全員、仕事の区分けなんて無しに何でもします。

ただひとつ、私だけが受け持つ仕事があります。
わたくし、ネット販売の責任者なんです。
いわゆる「ＥＣ販売、及びマーケティング担当」
でございます。

花屋の店員である以上、色合わせとか
形づくりのセンスなんかは、必要になりますが
「花を愛する気持ち」と同じぐらい
うちのスタッフの皆さん、立派な物をお持ちです。
手先も器用だし。

けれど、パソコンを使うとなると違います。
「触ったことなーい」とか
「わかんなーい」とか
女子力満開で、困ったちゃんの顔をし始める。

おいおい。