3. 秘密の扉

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すると草陰から、小さな羽の生えた妖精が飛び出てきました。 彼――男の子は、どんぐりのヘタの帽子を真っ直ぐにかぶり直して 伸びをすると、ポケットから何かを取り出し、花に振りかけました。 とたんに花がしゃんとして 青色がますますキラキラと 輝き始めました。 私は言葉を失ったまま、歩き続けていました。 どこかしこで、花たちが揺れ、言葉をかわし 妖精の笑い声が、響いています。 花たちの甘い(こう)。 爽やかな緑の薫り。 熟れた果実の匂い。 そんなものを含んだ風が、私の耳元から駆け抜けていって 私の赤毛を揺らしている。 「現実的な私」ですら、声がでないぐらいの現実(リアル)が そこにはありました。 どこまでも遠くが見えていたはずですが いつの間にか私の目の前に、巨大だけれど 極端に枝が横に広がった低木が、現れました。 ギョっとした事に、その低木の前には 映画に出てくるような西洋の龍が 横たわっていたんです。 その子は、頭を地面につけて寝ていました。 深緑色の鱗のついたお腹を上下に揺らして 私の拳ぐらいの大きさの鼻の穴から 寝息をもらしていました。 低木の木の枝は、低い位置で土台のように 左右に広がり、その上に、木自身が形作った 小さな床だけの部屋を乗せていました。     
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